▼鞆の浦屈指の大商家「太田家」
太田家住宅は、江戸時代中期から明治時代にかけて保命酒の醸造販売で栄えた、鞆の浦屈指の大商家の建造物【国重要文化財】で、現在一般に公開されています。
保命酒とは、餅米を主原料に、焼酎、16種類の和漢薬味などを使って醸造した薬味酒で、江戸時代の鞆の特産品でした。
建物は主屋（18世紀中期）を中心に、炊事場・南保命酒蔵（18世紀前期）、北保命酒蔵（1788年）、西蔵（1789年）、東保命酒蔵（1795年）、釜屋・新蔵・北土蔵（19世紀前期）の9棟で構成されています。
各建物の豪壮な立ち並びに加え、主屋の市松模様の土間や網代天井、蔵のサイコロの目を模した海鼠壁などの意匠は、大商家ならではの風格を備えています。
▼尊皇討幕を唱える三条実美ら七卿
鞆七卿落遺跡は、幕末期に尊王攘夷派の三条実美ら七卿が、太田家住宅及び太田家住宅朝宗亭に立ち寄ったことから、その名がついています。
三条実美卿らは、文久3年（1863年）8月18日の政変により、官職を免ぜられ長州に下る途中に鞆港に入り、太田家住宅に立ち寄りました。
翌、元治元年（1864年）上洛することとなり、多度津に達した船団は「蛤御門の変」により長州勢が敗れたことを知り、鞆に引き返し現太田家で軍議を重ね西下を決定したと記録に残っています。
太田家住宅の概要データと地図
名 称：鞆七卿落遺跡・太田家住宅【重要文化財】
住 所：〒720-0201 広島県福山市鞆町鞆842
電 話：084-982-3553
営業時間：10：00～17：00（入館は16：30まで）
定休日：火曜(祝日の場合は翌日)
