▼亀の首岩とお地蔵さんの概要
生口島と高根(こうね)島との間の海に立つお地蔵さんで、航海の安全を見守っています。世にも珍しい、海上に奉納されたお地蔵さま。生口島(広島県尾道市)瀬戸田町に伝わる「亀の首岩と地蔵さんの伝説」とは…。
人喰い亀の大将を言葉巧みに山へ連れ出し退治した小僧さんの昔ばなしです。小僧さんのおかげで人喰い亀が、いなくなったので瀬戸田に多くの舟が行き交うことになったんですが…。
退治した亀の大将の頭部が岩となり、座礁したりする舟が増えてしまったんです。 村人たちは亀主さんの供養と海難事故防止のために、亀の首岩にお地蔵さまを奉納し安全祈願をしたそうです。(詳しくは下記参照ください)
▼亀の首岩とお地蔵さまの伝説
昔、瀬戸田の周りにはたくさんの亀が住んでいたそうです。
「亀主」という亀の総大将はこの近くを通る船を沈めては人を食べていたので、近くを通る船がいなくなり・・・
亀主は食べ物がなくなると、村の庄屋に毎年1人ずつ村人を亀主のところへ差し出すように命令しました。
庄屋や村人たちが困っていると、向上寺の「調明」という小僧さん「よし、私が亀を退治してやる」といって亀主のところへ行きました。
小僧さんは亀主のところへ行き「私があなたに食べられるのはいとわないけども、その際は向上寺の仏の前で食べてもらいたい」と一生懸命いに懇願したので亀主は調明の願いを聞いて調明と一緒に向上寺山に登りはじめました。
しかし向上寺は山の上。海に住む亀が山を登るのは難しく、しだいにぐったりしてしまいました。そこで調明は隠し持っていた刀で亀主の首を切り落とし、その首は海の中に落ちて見る見るうちに岩に変わりました。
亀がいなくなり、自由に船が航行できるようになりましたが、その岩のそばでしばしば海難が起こるようになりました。
そこで海難防止と亀主の霊の供養のためお地蔵さんを立てたといわれています。また調明は仏に仕える身で殺生をしたことにより、罰として松の木に変えられたということです。信賞必罰とはいえ、調明さんには罪はないと思うんですが・・・