▼鯖大師(さばだいし)の概要
弘法大師(空海)さまの奇跡を伝え受け継がれる伝説は全国各地にあります。云い伝えによると、そのいわれは千数百年前にさかのぼり、性善性悪それぞれを含む説が存在します。
まずは性悪説から紹介しましょう。魚の行商人が鯖が売れないで腐りかけて困っていたところ、通りすがりのみすぼらしい姿の旅僧につめたくあたり、桶の中の鯖が腐ってしまったというバチ当たり説。
逆の性善説の言い伝えでは、魚の行商人が鯖が売れないで腐りかけて困っていたところ、一人の旅僧が通りかかり鯖にふれると生き返った説。また、別の言い伝えではみすぼらしい旅僧に親切にしたお礼に鯖の大漁がつづいたそうです。
善悪いずれも「旅僧」がお大師さまの化身であったという設定は同じです。
▼因島の鯖大師伝説とは
因島の「鯖大師」のお話もそんな中のひとつです。これらの云い伝えをもとに夢枕に立たれたお大師さまの姿に感激した(故)村井才吉さんが私財を投じて京都の高橋才治郎氏に鋳造を依頼。
1921年(大正10年)11月に完成した鯖大師像は、因島土生町にあった村井氏宅に鎮座されていました。
昭和33年3月には因島病院前へ移し半世紀後に故村井氏の家族が市の発展と市民の御加護を願い、当時の因島市へ鯖大師のブロンズ像を寄贈されました。
昭和52年5月に現在の場所、因島公園にある「ホテルいんのしま」の向かいにあるお大師さまの庭園に鎮座されています。このお大師さまの庭園にはやはり村井才吉翁が寄進された八十八ヶ所石仏と仁王像が並べられています。